南フランスで家を建てました

異国の地で家を建てるまでのあれやこれやを綴ります。

12.   市役所に建築確認申請

皆さん、こんにちは。

南仏在住のマダム野武士です。

 

前回より少し間が空いてしまいましたが、今回は市役所(町役場)への建築確認申請についてお話させて頂きます。以前の記事と重複するところもあります。ご承知おきください。

 

日本でも家を建築する前にその建物が建築基準法等の法令に基づいた内容であるかという建築確認をする必要があると思います。この建築確認は管轄する自治体が行うことが多いかと思います。

フランスも同様に着工する前に自治体に建築確認申請( La déclaration d’achèvement des travaux (DAACT))を届け出る必要があり、申請してから建築確認通知証もしくは建築確認済証が発行されるまでに平均で2か月ほどかかります。夏休みなどの長期休暇に入るとその期間は自治体の機能がストップするので、さらにプラスで1か月ほどかかる場合が多いです。

ちなみに竣工後には同じく自治体に完了審査を申請して、後日実際に職員の方が家に来られます。訪問時(la visite de contrôle de conformité)  には法令・条例を満たした建築になっているかの検査が行われ、問題がなければ検査済証が発行されます。

 

建築確認申請書(DAACT)は下記のホームページからダウンロードできます。

www.service-public.fr

申請書には住居に関する専門的な内容を記載する必要があるので、日本でも大抵の場合、建設を担当されている施工業者の方が申請書の記入をしてくださると思いますが、フランスでも同様で施工業者の方に記入していただくことが多いです。私達も建築家の方に記入をお願いし、内容を確認した上で書類に署名しました。自治体への申請書の提出も建築家の方が担当してくださいました。

 

申請後、3ヵ月後に建築確認通知証(Autorisation de permis de construire maison individuelle)が郵送で自治体から届きました。私達の場合は、土地の区画整備に時間がかかってしまったため、結果として建築許可が下りるまでに3か月かかってしまいました。

 

その後、実際に着工したのは建築確認通知証が下りた4ヵ月後だったのですが、着工すると同時に自治体に今度は着工申請書(Déclaration d'ouverture de chantier)を提出する必要がありました。こちらの書類は主人か私のどちらか一方のみの署名でよかったため、主人が署名して提出しました。その後、自治体から署名入りの着工申請確認書を受け取り、工事を進めていった流れになります。

 

以上、本日は着工前・着工後に自治体に提出する書類についてお話させて頂きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

11.間取りの決定

皆さん、こんにちは。

南仏在住のマダム野武士です。

 

前回は土地整備完了の許認可についてお話しましたが、今回は内容をガラッと変えて家の間取りについてお話したいと思います。

 

間取りについては、かねてから書き連ねていますように和室の確保が我々の最重要項目でした。可能であれば8畳、難しそうであれば6畳の和室が欲しいということで色々と検討しました結果、6畳+床の間・飾り棚という結果に落ち着きました。

フランスでも畳を購入することができるのですが、最大100cm×200cmとして5cmずつ幅と長さをカスタマイズして注文することができます。例えば京間に近い大きさの畳を注文するなら95cm×190cmという風に5cm刻みでオーダーできます。日本にオーダーをかけて年に2回まとめて輸入されるとのことで、発注から納品までに5ヵ月ほどかかります。ちなみに畳のヘリは黒の一色です。値段は1枚140€程度です。

 

このようにして和室の大きさが決まったら、次は和室の配置ですが、北床(南向きの床の間)にしたかったのと、和室から縁側に出られるようにしたかったので、必然的に和室の位置が決まりました。

 

次に玄関の位置も比較的早く決まりました。分譲地の一区画であることからお隣さんとの境界線側にできるだけ窓のない部屋を配置するとなると、ガレージが真っ先に候補に挙がってきます。そこでガレージの位置が決まると、自ずと玄関の位置も決まってくるという流れでどんどん決定していきました。

 

次にリビングは南側でテラスと地続きになった造りが良いと考えていたので、こちらもあっという間に配置が決まりました。そしてリビングに繋がるキッチンですが、フランスはご家庭で料理をされる方が多く、中でもオーブンを使う料理が多いです。そのことからある程度の大きさのキッチンの確保が必要になってきます。ちなみに電子レンジを持っていないというご家庭は散見されます。

一軒家の場合ですとカウンターキッチン(対面キッチン)のようなキッチンとリビングの間にカウンターのような作業台が設けられているお家も多く、フランス語ではそのようなカウンターをilotといいます。作業台のことはplan de travailといいます。我が家もカウンターを設け、そこで料理の準備をしたり、パソコンなどを置いて作業する場としても使っています。

リビングと地続きのキッチンの大きさ・配置が決まったところで、残りは寝室・風呂場・トイレです。寝室で過ごす時間は夜眠るときだけなので、採光などは気にせず、お隣さんの声なども気にならない静かな空間を保てる配置にしました。

風呂場・トイレは別にしたかったので、トイレは必要最低限の大きさにして頂き、お風呂場は浴槽とシャワーのスペースを別にとりたかったので、その分洗面台を小さくして頂きました。フランスではトイレに手洗い用の小さな洗面台が付いていることは珍しいのですが、日本人としてはどうしても必要だと感じていたので、小さな洗面台を取り付けられるスペースを確保して頂きました。余談ですが、後に工事の段階でなぜトイレの横に風呂場(洗面台付)があるのにトイレにも手洗い場をつけるのか工事の方に不思議がられました。

またお風呂場に関しては浴槽の上にシャワーがついているのがフランスではスタンダードですが、ゆっくり湯船につかりたかったので、シャワーのスペースと湯船は分けて頂きました。こちらもフランスでは珍しいようで、始めはなぜスペースを分ける必要があるのか、その分のスペースを洗面台を2つ設けるなどして活用した方が良いと言われたのですが、この点は譲れなかったので希望通りシャワーと浴槽を分けて頂きました。

洗濯機はフランスではお風呂場もしくはキッチンに備え付けられていることが多いですが、我が家はお風呂場の脱衣所に設けました。

 

以上、本日は間取りについてお話しました。

 

 

 

10.   分譲地整備完了の許認可(DAACT)の通知

皆さん、こんにちは。

南仏在住のマダム野武士です。

 

前回は、建設前の事前準備として土地の区画整備について主に買主側がしなければならないことについて詳しくお話させて頂きました。

 

今回は主に行政手続きについて、町役場(mairie)から分譲地整備の許認可(DAACT)が下りるまでのお話をさせて頂きます。フランスでは通称DAACTと呼ばれる許認可で、正式名称はDéclaration attestant l'achèvement et la conformité des travauxです。これは着工する前の土地の整備が終了した段階で役所に申請し、建築開始の許可をもらう時に一度、そして竣工後に役所の方が図面通りに建設されているか現場確認(contrôle)をし、建物が基準に満たしている際にもう一度、あわせて2回、それぞれの許可証として(前者は土地の整備に対して、後者は建物に対して)許認可が通知されるものです。

 

DAACT

 

以前、土地の売買契約についてお話した際に、本契約時にはまだ土地の区画整地が完了していなかった旨をお話させて頂きました。

実は、本契約を結んでから実際に土地の譲渡が行われるまでに土地の区画整備が終わっていなかったことから2回、売買契約の延長(Prolongation de promesse de vente)をしているのですが、この延長をする際にも売主・買主・不動産業者の3者の同意が必要で、かつNotaireが作成した法律上有効とされる書類に3者が署名する必要があったので、延長をする際にも毎回Notaireを通して契約の延長をする必要がありました。

分譲地整備に時間がかかった理由は、おそらく共有スペースの整備、なかでも地下に埋める貯水槽の設置と電気・水道のインフラ整備だったと考えられます。貯水槽の設置は条例で定められており、これは近年の急な大雨や洪水に対応するものとして新しく設置が義務付けられたものです。共有スペースだけでなく、各家の敷地にも設置が義務付けられています。貯水槽の大きさは敷地内のコンクリートが敷かれた部分の表面積×120㎥と定められています。これは地上に備え付けるタイプでも地下に埋めるタイプでもどちらでも認められていますが、庭の池やプールは貯水槽とはカウントされません。共有スペースの貯水槽は地下に備え付けられたので景観を損なうことはありません。

 

そんなこんなで、町役場からの分譲地整備完了の許認可(DAACT)が下りたのは土地の本契約を結んでから7ヵ月後のことでした。このDAACTは売主側が役場に申請をし、申請が通ったら買主側の私達の方に直接役場から郵送で許認可証が届きました。

 

DAACTの許認可を待っている間に建築家の方が建築許可申請(permis de construire)の書類作成にあたってくださり、DAACT以外の書類を先に役場に提出してくださっていたので、役場の方からもDAACTが下り次第、すぐに着工して良いと許可を頂いていました。本来ならば建築許可申請を提出する際にDAACTの許認可書が提出書類の1つに入っているため、書類不備で建築許可申請書を提出することができないのですが、そこは建築家の方が町役場の方に交渉してくださり、書類不備のままでも仮申請として受け付けていただくことができました。一般的に建築許可申請書を提出してから、建築許可が下りるまでに2か月かかるので、もしこの段階で仮申請として認めてもらえていなければ、着工がさらに2か月遅れることになりかねませんでした。既に本契約から土地整備までに7ヵ月の遅れがあったので、これ以上遅らせたくないということで、建築家の方の交渉のおかげでなんとか7ヵ月遅れでの着工にたどり着くことができました。

 

以上、本日は分譲地整備の許認可についてお話させていただきました。

 

 

 

 

9.分譲地の区画整備

皆さん、こんにちは。

南仏在住のマダム野武士です。

 

今年は南仏は暑くなるのが例年より遅く、去年よりもはるかにたくさん雨が降っていて、日本の梅雨を疑似体験しているかのような気候が続いています。(例年だと3~4月に雨が降り、5月以降は夏日になることが多いですが、今年は6月に入っても雨が降る日がちらほらあります。)

 

さて、前回は建築家(工務店)との本契約について記載しました。今回は、家を建てる分譲地の区画整備について書いていきたいと思います。

 

そもそも「分譲地」とは広い土地を区画整理して、住宅用として小分けに販売している土地のことを指すようです。分譲地にも元々宅地用として整備されていた宅地分譲と、宅地でなかった土地を造成して区分けされた開発分譲地があり、我々が購入した分譲地は元々は広大な私庭として使われていたので一応、宅地分譲に分類されるのではと思います。

(参考:分譲地とは。メリットやデメリット、購入時に知っておきたい注意点 | 家選びネット)

 

また、以前の記事でも少し触れましたが、分譲地に家を建てる際には、土地と家がセットで販売されている建売住宅と自分たちで自由に江法・間取り・設備などを決めることのできる注文住宅の2つに分けられますが、我々は注文住宅を選択しました。

 

さて話が脱線してしまいましたが、我々の購入した分譲地は土地を4つに区分けされた内の1つで、土地の売買契約をした際にはまだ区画整理が終わっていない段階でした。売主側が買主側に土地を引き渡すまでにしなければならない区画整備としましては、

1.区画の境界線を明確に提示すること

2.共用スペースの整備(ゲスト用の駐車場・ゴミ置き場・郵便受けの設置)

3.共用スペースまでの電線・水道インフラの取り込み

4.共用スペースにおける貯水槽の設置

が挙げられていました。

 

一方、買主側で着工するまでにしなければならなかったことは

1.工事をするのに必要な仮の電線を設置(Coffret compteur de chantier)

2.建設業許可証のパネルの掲示

3.土地の整地(草木の伐採・撤去)

でした。

 

1のCoffret compteur de chantierはフランス版のメルカリともいえるBon coinで中古の物を購入しました。

coffret compteur de chantier

2のパネル(panneau permis de construire)はDIYショップ(Brico DépôtやLeloy Merlin等)で無料配布されているので、そちらをもらってきて自分たちで書きました。

 

panneau permis de construire

3の土地の整地については丸3日ほどかけて、主人のご家族や友人にも手伝ってもらいながら、ひたすら草木の伐採をしました。手動ののこぎりや園芸用ハサミを使って3mくらいある木を3本伐採し、残りの小さな木々も切っていきました。この伐採した3本の木は後に業者の方がブルドーザーを使って根っこから抜いてくださり、後に庭となる場所に移植しました。町の建築条例で、土地を購入した時に残っていた木々と同じ本数の木々を土地内に植え替える必要があったので移植しました。これは必ずしも同じ木である必要ではなく、新たに別の種類の苗木を植えることでも認められるようです。

また伐採した木々は軽トラに積んで町のごみ処理場に持っていきました。3往復ほどしてようやく伐採した木々を全て運び出すことができました。

伐採前

伐採後

概ね土地の整備ができた旨を建築家の方に連絡し、翌週に基礎工事の業者の方がいらっしゃって3本の木を根っこからブルドーザーで引っこ抜き、庭となる部分に移植してくださいました。残念ながら、この年は雨が全然降らず、水不足が影響し、移植した3本の木は枯れてしまいました。ですので現在は別の木を植樹する手配を整えている最中です。

 

長くなりましたが、本日はここまで。

 

8.建築家との打ち合わせ(後半)

こんにちは。

南仏在住のマダム野武士です。

 

前回は建築家との打ち合わせから図面作成依頼までをお話させて頂きました。

本日は、その後の本契約についてお話したいと思います。

 

前回、建築設計仮契約書(ordre de mission)に署名し、前金をお支払いしたところまでお話しました。ちなみにこのOrdre de missionは建築設計を依頼する建物の大きさで値段が変わってきます。そして、この契約書はあくまでも仮契約であり、本契約に進むまでに依頼者(家を建てる側)と建築家のどちらかが施工の計画を断念することになっても違約金は発生しませんし、前金は払い戻されることはありません。あくまでも建築に必要な設計図の依頼と工期の計画・予算組みが仮契約の中で交わされる業務内容になります。

 

私たちのケースで言うと、建築家の方と仮契約を結んだ後に、一度住宅ローンの審査に落ちてしまったため、この段階では施工を断念せざるを得ない状況にありました。その後、他の銀行で住宅ローンの審査を受けることになり、その際に家の建築施工に関する予算の詳細を提出する必要に迫られましたが、建築設計仮契約書の業務内容に施工予算の算出という項目も含まれていたため、建築家の方が全ての業者(電気・水道など)に見積書の提出を依頼してくださり、なんとか書類を集めることができました。仮に自分たちで各業者に見積もり書の提出を依頼していたら、住宅ローンの審査までに書類を全て集めることは不可能だったと思います。

 

そんなこんなで、無事に住宅ローンの審査に通り、資金計画が明らかになったこと、そして土地の本契約も順調に進んでいたので、仮契約書を締結してから3か月後に本契約(Contrat d'architecte)を結びました。本契約の内容としましては、大まかに

1.町役場での建築許可証の取得

2.施工計画書の作成

3.   施工業者の紹介

4.施工業者との契約立ち合い

5.施工管理(工期の管理、各業者の進捗状況確認)

6.設計図の更新

7.建築予算表の更新・調整

が挙げられます。

 

この本契約時にお支払いする額は、やはり建築する家の大きさによって変わってくるのですが一般的には建築予算の10%~12%が相場だと言われています。

 

今日は、建築家の方との本契約についてお話しました。

次回は土地の分譲地の整備に関してお話したいと思います!

 

 

 

 

 

8.建築家との打ち合わせ(前半)

皆さん、こんにちは。

南仏在住のマダム野武士です。

 

前回は土地の売買契約についてお話させて頂きましたが、今回はガラッと内容を変えて、建築家(工務店)との打ち合わせについてお話させて頂きます。

 

以前の記事でも少し触れました通り、家を建てる時に依頼する先は大きく分けてハウスメーカー工務店の2つに別れるかと思います。(あるいは私のお隣さんのように大工さんが自分で家を建てられるというケースもごくまれにあるかと思います。)

 

工務店の中でも、

1.自社で大工さんを雇用されており、設計・施工・アフターフォローまでを一貫される

2.工務店で設計・管理をし、施工は外注する

3.フランチャイズに加盟し、特定の住宅を扱う

の3つに分類されるかと思いますが、私達は「2.工務店で設計・管理をし、施工は外注」という形態をとられている地域の工務店(建築家)の方に依頼をしました。理由は以前の記事「4.建築家探し - 南フランスで家を建てました」で述べた通りです。

 

つまり、家の設計と施工の管理は工務店(建築家)の方に依頼し、施工は各業者の方と個別に契約を結んで着工して頂くという流れになります。工事をしてくださる各業者の方々につきましては、工務店から紹介して頂くケースが大多数で、工務店と長い付き合いのある方々がほとんどでした。もちろん、自分たちの知り合いの業者の方や、自分たちで業者の方を探してきて工事をお願いすることも可能です。私達も見積もりを取得する時は工務店から紹介していただいた数社以外に、別の業者にも見積もりを取って比較したこともありました。

 

さて、話が逸れてしまいましたが、建築家との初めての打ち合わせは、まず「どのような家を建てたいか」という漠然としたイメージの共有から始まりました。建築家の方との打ち合わせが始まる前に既に土地が見つかっていたので、土地の条件(主に広さ・立地)と家の建築の予算は決まっていたのですが、いざ具体的な家のイメージとなるとなかなか具体的に思い浮かべることが難しく、1ヵ月ほど色々な家のカタログを見たり、ネットで調べたりして主人との間でどのような家にしていくのかというイメージを固めるところから始めました。具体的にはネットや雑誌で見つけた理想のイメージの間取りやデザインの写真を片っ端から保存し、ある程度集まったらその中で選別していき、集めた写真を建築家の方に提出しました。

また同時に、家を建てる上で譲れないポイント(トイレ・風呂別、南向きのテラスなど)をお互いに書き出し、そのリストも建築家の方にお渡ししました。

建築家の方からは初めての打ち合わせの際にどんな部屋(寝室・トイレ・書斎など)がいくつ欲しいかを決めて、各部屋の大まかな配置を描いてきてと言われていたので、ざっくりとした間取りを書いた紙も提出しました。

 

第1回の打ち合わせをした後日、建築家の方と購入予定の土地を見に行き、それも踏まえた上で、ざっくりとした間取りと建築の予算を算出していただけるとのことだったので、土地訪問から3週間後、第2回の打ち合わせのために再び建築事務所を訪問しました。そこで、間取りの説明と大体の予算・工期を説明していただきました。ここまでの相談は全て無料でやってくださいました。

 

その後、ご提案頂いた内容で設計・施工管理をお願いしたかったので「建築設計仮契約書(Ordre de mission)」に署名をし、設計図(3Dイメージと2Dの図面)と具体的な工期・建築予算を組んでもらうための費用をお支払いしました。それと同時にこちらからは、不動産業者から仕入れた土地に関する資料街の建築規定に関する条例の資料を提出しました。日本と同じようにフランスでも街によって建築規制があり、例えば私たちの住む村では外壁の色の指定や洪水時に備えて貯水槽の設置義務などが定められています。

 

少し長くなってしまったので今日はこの辺で終わりにします。

次回は、建築家の方との本契約についてお話させて頂きます。

 

 

 

 

 

7.土地の売買契約(後半)

こんにちは。

南仏在住のマダム野武士です。

 

昨日は、土地の売買契約について、不動産業者と媒介契約→売主への購入申込書の提出までをお話しました。本日はその後の売買契約についてお話したいと思います。ちなみに書類を見直してみると、媒介契約から購入申込書の提出までは約1か月かかっていました。理想の土地に出会ってからここまで約2か月かかっていることになります。

 

そしていよいよ、本日の本題でもある「土地の売買契約( promesse de vente)」に話が移っていきます。日本では土地の売買契約を結ぶ際には基本的に不動産業者が売主に確認して作成した「重要事項説明書」を買主に説明、買主が同意し署名・捺印後、双方の合意が得られた上で、売主・買主共に売買契約書に署名・捺印という流れになるかと思います。

 

フランスでは、この土地の売買契約の書類を作成するのはNotaireと呼ばれる職業の方で、売買契約もNotaireの下で締結する必要があります。Notaireを通さずに売主・買主で契約を結ぶことはできません。どのNotaireに頼むかは買主に選ぶ権利がありますが、知り合いにNotaireがいなければネットで口コミを見たり、知人からの紹介で選んだりします。

 

Notaireとは日本ではあまり馴染みのない単語だと思いますが、辞書には「公証人」という訳が載っています。日本でいう司法書士に該当する職業だと言えます。街中でちらほら下記のマークを見かけますが、それはNotaireの事務所です。

 

Notaireのロゴ

売買契約を担当してくださるNotaireを選んだら、買主から不動産業者にNotaire決定の旨を連絡し、そこからNotaireが手配した専門家による土地の調査(洪水のリスクや過去に土壌汚染が無かったか等)が始まり、並行してNotaireの方で書類作成が始まります。

 

そしてNotaireにお願いしてから約1か月後に土地の調査と書類作成が完了したとの連絡があり、特に問題が無かったので、いよいよ三者(売主・買主・不動産業者)が同席の下、Notaireの前で土地の売買契約(promesse de vente)を交わすことになりました。売買契約を交わす際には買主が予め土地代の10%をNotaireの口座に振り込んでおくことが条件で、その手付金の振込が確認されてから契約書にサインをする流れになります。この手付金は土地の決済(Vente définitive)が完了するまでNotaireによって管理され、仮に買主側の問題で住宅ローンの審査が2件以上の銀行から断られてローンが組めなかったり、売主側の問題で土地の整備不良で引き渡しの条件に及ばなかったりした場合には、買主側に手付金が全額返済される仕組みになっています。

 

通常、売買契約から土地の決済・引き渡しまでは約3か月ほどかかると言われており、我々の契約書にも3か月後に土地の決済・引き渡しの期日が記載されていました。結果としましては、3か月後にまだ土地の区画整備が終わっておらず、売主・買主・不動産業者の3者が売買契約の延長(Prolongation de promesse de vente)に同意したため、その延長を2回繰り返し、結果として最初の売買契約を結んでから7ヵ月後に土地の決済・引き渡しに至りました。この延長をする際に書類を作成するNotaireがバカンスに出掛けてしまい、書類の作成が滞り、危うく売買契約が打ち切りになる危機にも直面したのですが、それはまたいつかお話させて頂ければと思います。

 

土地の決済・引き渡しにつきましても、また別の機会にお話させて頂きます。

それでは今日はこの辺で。