こんにちは。
南仏在住のマダム野武士です。
昨日は、土地の売買契約について、不動産業者と媒介契約→売主への購入申込書の提出までをお話しました。本日はその後の売買契約についてお話したいと思います。ちなみに書類を見直してみると、媒介契約から購入申込書の提出までは約1か月かかっていました。理想の土地に出会ってからここまで約2か月かかっていることになります。
そしていよいよ、本日の本題でもある「土地の売買契約( promesse de vente)」に話が移っていきます。日本では土地の売買契約を結ぶ際には基本的に不動産業者が売主に確認して作成した「重要事項説明書」を買主に説明、買主が同意し署名・捺印後、双方の合意が得られた上で、売主・買主共に売買契約書に署名・捺印という流れになるかと思います。
フランスでは、この土地の売買契約の書類を作成するのはNotaireと呼ばれる職業の方で、売買契約もNotaireの下で締結する必要があります。Notaireを通さずに売主・買主で契約を結ぶことはできません。どのNotaireに頼むかは買主に選ぶ権利がありますが、知り合いにNotaireがいなければネットで口コミを見たり、知人からの紹介で選んだりします。
Notaireとは日本ではあまり馴染みのない単語だと思いますが、辞書には「公証人」という訳が載っています。日本でいう司法書士に該当する職業だと言えます。街中でちらほら下記のマークを見かけますが、それはNotaireの事務所です。
売買契約を担当してくださるNotaireを選んだら、買主から不動産業者にNotaire決定の旨を連絡し、そこからNotaireが手配した専門家による土地の調査(洪水のリスクや過去に土壌汚染が無かったか等)が始まり、並行してNotaireの方で書類作成が始まります。
そしてNotaireにお願いしてから約1か月後に土地の調査と書類作成が完了したとの連絡があり、特に問題が無かったので、いよいよ三者(売主・買主・不動産業者)が同席の下、Notaireの前で土地の売買契約(promesse de vente)を交わすことになりました。売買契約を交わす際には買主が予め土地代の10%をNotaireの口座に振り込んでおくことが条件で、その手付金の振込が確認されてから契約書にサインをする流れになります。この手付金は土地の決済(Vente définitive)が完了するまでNotaireによって管理され、仮に買主側の問題で住宅ローンの審査が2件以上の銀行から断られてローンが組めなかったり、売主側の問題で土地の整備不良で引き渡しの条件に及ばなかったりした場合には、買主側に手付金が全額返済される仕組みになっています。
通常、売買契約から土地の決済・引き渡しまでは約3か月ほどかかると言われており、我々の契約書にも3か月後に土地の決済・引き渡しの期日が記載されていました。結果としましては、3か月後にまだ土地の区画整備が終わっておらず、売主・買主・不動産業者の3者が売買契約の延長(Prolongation de promesse de vente)に同意したため、その延長を2回繰り返し、結果として最初の売買契約を結んでから7ヵ月後に土地の決済・引き渡しに至りました。この延長をする際に書類を作成するNotaireがバカンスに出掛けてしまい、書類の作成が滞り、危うく売買契約が打ち切りになる危機にも直面したのですが、それはまたいつかお話させて頂ければと思います。
土地の決済・引き渡しにつきましても、また別の機会にお話させて頂きます。
それでは今日はこの辺で。